子宮内膜症とは?
子宮内膜症とは、受精卵を受け止めるベッドのような役割を担う「子宮内膜」が、通常とは異なる位置で形成される状態を指します。
卵巣で生じた場合には、チョコレート色の血液が溜まり嚢腫が形成され、これをチョコレート嚢腫と呼びます。
また、腹膜で生じた場合には、卵巣・卵管・腸などの癒着を招き、不妊の原因になることがあります。
子宮内膜症の進行と
ステージ
ステージ1
子宮内膜状の組織が、子宮以外の卵巣や腹膜に点在している状態です。
月経に合わせて剥離しますが、排出されない組織・血液によって血種が形成されます。
通常、自覚症状はありません。
ステージ2
子宮内膜状の組織が増殖・剥離を繰り返す中で、徐々に病巣が広がってきた状態です。
経血量の増加、生理痛の悪化などが見られます。
ステージ3
子宮内膜状の組織が固まり、卵巣・卵管・腹膜などに癒着している状態です。
寝込むほど生理痛がひどくなったり、性交痛が生じたりといった症状が見られます。
ステージ4
癒着が骨盤内の臓器全体に広がった状態です。肺まで拡大するケースもあります。また、骨盤内の臓器がひとかたまりになることもあります(凍結骨盤)。
下腹部や腰の痛みがひどく、日常生活におけるさまざまな場面で支障をきたします。
どんな痛み?
子宮内膜症の症状チェック
ステージ1ではほぼ無症状ですが、ステージ2から、徐々に以下のような症状が現れます。
- 生理痛(軽度~重度まで徐々に悪化)
- 生理痛以外の腰、下腹部の痛み
- 性交痛
- 経血量の増加
- 排便時の肛門痛
- 不正出血
- 便秘/下痢、頻尿
- 微熱、頭痛、吐き気
- 不妊
初期症状は主に生理痛
最初に現れる症状としてもっとも多いのが、生理痛です。ときに、起きていられないほどの強い痛みを伴います。
また、月経期間ではないのに腰や下腹部の痛みが生じることもあります。
子宮内膜症の原因
子宮内膜症の原因については、はっきりと分かっていない部分があります。
ただ、月経、および月経血の腹腔への逆流などが、子宮内膜症の発症に影響しているものと考えられています。
そのため、累積の月経の数が多い人(30代以上・初潮が早かった・妊娠回数がないか少ない・月経期間が長い人)は、そうでない人と比べると、子宮内膜症のリスクが高くなると言えます。
子宮内膜症の検査方法
問診では、自覚症状、月経の状態、服用中の薬などについてお尋ねします。その上で、以下のような検査を行います。
内診
膣から骨盤内のしこり、異常の有無を調べます。
超音波検査
チョコレート嚢胞などの有無を調べます。痛み、被ばくの一切ない画像検査です。
血液検査
CA125など特定の腫瘍マーカーについて測定します。
MRI検査
病変の位置、広がりを正確に把握します。MRI検査が必要になった場合には、提携病院をご紹介します。
子宮内膜症の治療方法
症状の程度、年齢、妊娠の希望、不妊の有無などを確認した上で、お一人おひとりに合った治療を提案します。
薬物療法
生理痛などの痛みについては、痛み止め、漢方薬を処方します。
またホルモン療法として、生理痛・病巣の増大を抑制する低用量ピル、黄体ホルモン剤のみのジエノゲストなどを使用します。
黄体ホルモンを持続的に放出するIUSを子宮内に装着するという方法もあります。
手術療法
子宮・卵巣を温存する「温存手術」と、子宮や卵巣・卵管を全摘出する「根治手術」があります。
近年は、腹腔鏡で対応できるケースも増えてきています。
手術が必要になった場合には、速やかに提携病院をご紹介します。
子宮内膜症は
放置するとどうなる?
子宮内膜症を放置すると、周囲の臓器や組織との癒着が進み、生理痛などの症状が悪化します。また、不妊の原因になることもあります。
健康な人にも生理痛は起こりますが、生理痛がひどくなった・長引く・経血量が多いなど、少しでも気になることがあれば、お早目に当院にご相談ください。


