- 排卵しない「黄体化未破裂卵胞」とは
- 痛みはある?黄体化未破裂卵胞の
症状チェック - 黄体化未破裂卵胞の原因
- 黄体化未破裂卵胞でも妊娠は可能?
- 黄体化未破裂卵胞の検査と治療法
- 黄体化未破裂卵胞は自然に消える?
排卵しない
「黄体化未破裂卵胞」とは
黄体化未破裂卵胞とは、成熟した卵胞が排卵せず、黄体化した状態を指します。
排卵されないため、不妊の原因になることがあります。一方で、黄体ホルモンは産生され、基礎体温が高くなり、排卵検査でも陽性になることがあるため、排卵したと思ったら実は黄体化未破裂卵胞だった、というケースが少なくありません。
排卵と妊娠は
どう関係する?
月経が始まると、卵胞は排卵に向けて育ち始めます。大きくなり、卵胞からのエストロゲンの分泌量が増えると、脳から黄体形成ホルモンが多量に分泌されます(LHサージ)。そしてLHサージによって卵胞が破裂すると成熟した卵子が卵巣外へと放出され、これが「排卵」です。
その後卵子は卵管采によって取り込まれ、卵管内で出会った精子が卵子へと侵入すると、受精卵となります。最後に受精卵が子宮に到達し、子宮内膜に着床すれば、妊娠が成立します。
痛みはある?黄体化未破裂卵胞の症状チェック
黄体化未破裂卵胞には、「痛み」のようなはっきりとした自覚症状がありません。
ただ、以下のような症状が見られることもあります。特に妊娠を希望している場合、症状に気づいた時にはお早めにご相談ください。
- 月経が早くなった・遅くなった
- 経血量が少なくなった
- 月経の周期が不規則になった
黄体化未破裂卵胞の原因
なぜ黄体化未破裂卵胞が生じるのか、はっきりしたことは分かっていません。
ただ、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、骨盤内炎症性癒着、黄体機能不全などとの関連が指摘されています。
黄体化未破裂卵胞に
なりやすい人の特徴
黄体化未破裂卵胞は、はっきりした原因が分かっていませんが、これまでの統計から、以下のような方に起こりやすいと言われています。
排卵が妨げられている
- 子宮内膜症の人
- 多嚢胞性卵巣症候群の人
- 骨盤内手術後の癒着がある人
- クラミジア感染症、淋菌感染症の人
LHサージが妨げられている
- 黄体機能不全の人
- 高プロラクチン血症の人
- 甲状腺機能異常の人
炎症などにより卵胞の破裂が妨げられている
- 非ステロイド性抗炎症薬の使用
- ステロイド剤の使用
黄体化未破裂卵胞でも
妊娠は可能?
黄体化未破裂卵胞があっても、妊娠の可能性はゼロではありません。実際に、別の周期で正常に排卵が起これば妊娠に至ることもあります。
ただし、排卵が妨げられる状態が続くと、受精そのものが難しくなり、不妊の一因となることもあります。ホルモン検査や超音波検査を通して状態を確認し、必要に応じて排卵誘発剤の調整やホルモン治療を行うことで妊娠の可能性を高められます。定期的な診察と適切な治療が重要です。
黄体化未破裂卵胞の
検査と治療法
検査方法
黄体化未破裂卵胞が疑われる場合には、以下の検査が行われます。
超音波検査
卵胞の大きさや排卵の有無を確認します。
ホルモン検査
黄体ホルモン(プロゲステロン)や卵胞刺激ホルモン(FSH)、LHの測定により排卵の状態を把握します。
治療方法
排卵が確認できず、妊活にあたり黄体化未破裂卵胞が生じる可能性がある場合には、ヒト絨毛性ゴナドトロピンの反復投与を行い正しい排卵を促します。
黄体化未破裂卵胞が繰り返し生じる場合には、根本的な治療としての腹腔鏡手術、あるいは妊娠を目指した体外授精などを検討します。
黄体化未破裂卵胞は
自然に消える?
黄体化未破裂卵胞は、自然に改善することもあります。そのため、黄体化未破裂卵胞が生じたことに気づかず、妊娠が成立しているケースもあると思われます。
ただ、妊娠を希望している方にとっては、不妊の原因の1つになる黄体化未破裂卵胞であるかを早期に判断し、適切な対応をすることが大切になります。
当院では、不妊治療にあたり、黄体化未破裂卵胞を含めたさまざまな病気や異常の可能性を考えた診察・検査を行っております。
不妊にお悩みの方は、症状の有無に関係なく、ぜひ一度当院にご相談ください。


