- 生理前に心身の不調をきたすPMS(月経前症候群)
- PMSの症状チェック
- PMSと妊娠初期の症状の違いとは?
- PMSの原因
- PMSになりやすい人の特徴
- 婦人科で行うPMSの治療方法
- PMSの症状を和らげるには
生理前に心身の不調をきたすPMS(月経前症候群)
PMSとは、生理前の3~10日ほど前から現れる心身の不調の総称です。生理の開始に伴い解消するという特徴があります。
症状の現れ方は人それぞれであり、「PMSかな?」と感じながらも受診に至っていない人が少なくありません。生理前に毎回のように気になる症状が現れる場合には、お気軽に当院にご相談ください。
PMDDとの違いとは?
PMDD(月経前不快気分障害)とは、PMS(月経前症候群)のうち、特に精神症状が著しいものを指します。イライラや怒りっぽさ、気分の落ち込み、涙もろさ、集中力の低下など、日常生活や仕事に支障をきたすほどの強い感情の波が特徴です。
PMSと同様、気分の変化がつらい、コントロールできないと感じるなど、気になる症状がある場合には、我慢せずお早めにご相談ください。
PMSの症状チェック
PMSの現れ方は個人差が大きいため、1つでも気になる症状があれば、一度受診されることをおすすめします。
主な症状
精神症状
- イライラ、怒りっぽくなる
- 不安
- 憂うつ、気分の落ち込み
- 感情の起伏が激しい
- 仕事や学業に対する意欲の低下
- 趣味などに対する興味、関心の低下
- 集中力、注意力の低下
身体症状
- 乳房の張り、痛み
- 倦怠感、疲れやすさ
- 眠気
- 生理痛、腰痛
- 下腹部の張り
- 食欲増進、体重増加
- 肌荒れ、ニキビの増加
- 頭痛、めまい、吐き気
- 肩こり
- ほてり
- むくみ
- 便秘、下痢
PMSの診断基準
以下に該当する場合に、PMSと診断します。
①過去3カ月の生理周期において、生理前の5日間に精神症状・身体症状のうちの1つ以上が認められる
②生理開始後4日以内に症状が消失し、少なくとも13日目まで再発しない
③症状の原因が薬剤やアルコールではない
④上記の状態が、その後2周期にわたって繰り返される
⑤症状が社会生活(学業・仕事など)に支障をきたしている
PMSと妊娠初期の症状の違いとは?
PMSの場合、生理が始まると速やかに症状が落ち着きます。一方の妊娠の場合は、生理の予定日を過ぎても症状が続きます。また妊娠の場合は、基礎体温も高温期が続きます。
PMSと妊娠初期の共通症状
ただ、以下のような共通する症状もあり、見分けが難しいこともあります。
- イライラ、不安感
- 腹痛、腰痛
- 頭痛
- 乳房の張り
- 倦怠感
- 眠気
- 便秘
妊娠の可能性がある場合は、妊娠検査薬の使用をおすすめします。生理予定日から1週間後以降であれば、高精度で判定できます。
PMSの原因
はっきりとした原因は分かっていませんが、以下のような因子の影響が指摘されています。
- 女性ホルモンのバランスの変化
- ストレスなどによる脳内伝達物質の分泌量の変化
- ミネラル不足
- 運動不足
- 遺伝的要因
PMSは、生理のある女性であれば誰にでも起こり得るものです。
PMSになりやすい人の特徴
以下のような方は、そうでない方と比べると、PMSになりやすいと言えます。
性格面
- 真面目、完璧主義
- 仕事などを一人で抱え込む
- 我慢強い、負けず嫌い
生活面
- ストレスを溜めやすい、解消できていない
- 生活が不規則
- 過労気味
- 飲酒、喫煙習慣がある
年齢・出産経験
- 20~30代
- 経産婦
婦人科で行うPMSの治療方法
PMSに対しては、主に以下のような治療を行います。
薬物療法
ピルによる治療
低用量ピルによって排卵を止めると、女性ホルモンのバランスの変化が抑えられ、症状の改善が期待できます。
ただしこの治療は、現在妊娠を希望しない人が対象となります。ピルの内服をやめれば、再び排卵が始まり、妊娠が可能になります。
生活習慣指導
バランスの良い食事・適度な運動・十分な睡眠・ストレスの解消などについて指導します。
また、PMSへの理解を深め、適切に対処するための説明をいたします。PMSについて正しく知ることで、不安やストレスが軽減されます。
PMSの症状を和らげるには
ご自身で取り組めるPMS対策をご紹介します。
食事
バランスの良い食事を1日3食、できるだけ決まった時間に摂りましょう。特にカルシウムやマグネシウムの不足はPMSの発症に影響すると言われているため、意識して摂取します。
運動
リラックスして、ストレス解消にも役立つ運動がおすすめです。種目などは特に問われませんが、ストレスになるような激しい運動はおすすめしません。
生活リズム
起床時間・就寝時間はできるだけ一定にし、睡眠時間を十分に確保しましょう。
飲酒・喫煙を控える
お酒は、完全に断つ必要は基本的にありませんが、飲み過ぎないようにしましょう。喫煙をしている人は、できるだけ禁煙をすることをおすすめします。
生活習慣と症状の記録をつけるのもおすすめです。
「こんな生活を送った月は症状が軽かった・重かった」ということが把握できれば、対処しやすくなります。


